10周年インタビュー パート3

株式会社オレコン・山本琢磨に10周年を記念してインタビュー

全3部作公開

10周年を記念して、株式会社オレコン 代表山本琢磨(以下ヤマタクさん)にインタビューの続きです。

オレコン設立から、成功談はもちろん失敗談も大公開! 10周年限定の初エピソードもあります。

 

第3部 今後の展望についてお聞かせいただきます。

 

―― それでは、この先10年後はどうなっていたいですか?

ヤマタクさん 10年後は今スタッフがちょっと70、80名で停滞しているんですけど、改善を繰り返せばもうちょっとオレコンにとどまっていき育っていくかと思います。退屈な会社にはしたくないなと思っているので、その辺は不安もありますね。

もちろん外部から守る為に法律とか商標権特許権とかもします。
ただそうすると今度権力が発生するので、その時に改善とライバルに勝つための施策というのが甘くなる可能性があってちょっとそこは怖いです。怖いってことは必ずそれが起きるんですけど、そうなった時に権力を淘汰する仕組みというものを、今ちゃんと作っておかないと、という考えがあります。

10年後は事業がいくつか立ち上がって、それぞれスタッフさんも会社を自分で作っていって、独立された方なんかと一緒に業務提供したりして、最初の一番大きいクライアントになれたらと思っています。

キャリアパスを含めてもうちょっと改善されているでしょう。
あと、うちでやっている法務とか経理の戦略会計・戦略PRっていうところも今改善は進めているので、その辺が実ってくれば楽しい感じの会社にはなってるかなと思います。みんな楽しく働いているんじゃないかな。

それこそ組織の形として、会社っていう形はなくなってるんじゃないかっていう気もします。
全員が個人で契約しあってる状態になっている可能性もあります。あと、我々がやっている人事を導入していただいた会社は成長しているんじゃないかな、というのも感じております。
 
 

 

―― ヤマタクさんはスタッフの成長をうれしく感じるということが一貫されているんですね。

ヤマタクさんそうですね。ひとりのスタッフが生み出す売上っていうのは生涯年収2億円。
そう考えるとちゃんと結果を出してる人がもっともっといるじゃないですか。

そうしたら、商品やプロダクトHRとかいろいろなってますけど、それより人材にちゃんとコストをかけた方がいいと感じています。ひとりひとりのリターンが大きいのですよ。というとても合理的な理由からそうしています。

 

 

―― ありがとうございます。次に10年後の売上目標はありますか?

ヤマタクさん実は売上目標は立ててないです。これも立てないことにしています。
皆さんの成長を待つという意味もそうですし、目標というのは目的があって目標を立てないといけないので、OGSM(※)のOが先になるんですね。
目的のないゴール設定ってモラルが崩壊するんじゃないか。売上だけを立てるために皆さん契約を早めたり、架空の売上を計上したりしていると、スタッフもそうなってしまいます。

私たちもそうならないように、そういう指示命令はしないというふうに考えています。
それに別に売上が上がったからといって皆さんの生活が潤うかっていうと微妙じゃないですか。

※OGSM=目的、ゴール、戦略、評価

―― 確かにそうですね(苦笑) では目標を立てない場合はどうするんですか?

ヤマタクさん僕は人が立てた目標とかに興味ないんですね。もちろん、大きな会社に勤めるという安心感はあるかもしれません。

だけど今どき安心感とかってどの企業もないじゃないですか。だからそこを目指すのは、だいぶ前にやめたんですよね。合理的ではないという判断です。これも人事のスタンダードに今後なっていくんじゃないかな。評価のスタンダードになってくると考えてます。

もちろん、目標を達成するのが大好きな人もいるんですよ。目標を立てて達成してって、できる人はそうなんですけど、僕は基本できない側に立って考えています。
僕自身、学校の宿題も大嫌いだし、勉強も全然ダメな状態だったので、できない人は知らないうちに結果が出るという仕組みを作りたいんです。

 

―― それは素晴らしい仕組みですね!

ヤマタクさんあと目標の悪いところがもう一つあって、達成してしまうとそこで一旦休憩みたいな感じで止まってしまうことがあります。人生は負けても勝っても続くので、続く前提で作っていかないといけないですよね。

だから僕らは絶え間ない改善を毎週やっています。それって気づくと目標を立てたところで全然高みに来てるんですよね。例えば、人材育成の目標を作った時に、まさか7年で起業してバイアウトまでするなんて誰も思ってないわけですよ。通常の8倍のスピード成長をするなんて、誰も考えないわけです。

それは考えずに改善した方が早いからなんです。目標の良いところもあれこれもちろんあるんですが、僕自身、売上や目標については一旦立てない方向でいます。

 

―― なるほど。それでは、10年後の事業展開についてはどうお考えですか?

ヤマタクさん 新規事業の展開は複数考えています。
まず人材、それから戦略法務、戦略会計、戦略PRっていうところはありますね。今後起きうることで政治のマーケティング化が進んでいることから、将来的には我々の業務分野やクライアント分野が増えると考えています。

ただ、オレコンではあまり公言していないのですが、しないと決めていることがいくつかあります。
それはパワーゲームに参加しないことです。また、バカとは働かない、お金を優先して失敗しない、という考え方も持っています。

そういう社会にはなっていくと思いますし、 オレコンを巣立ったりオレコンのトレーニングを学んだ人がやるのは別にいいと思いますが、オレコン自身は関与しないようにしていこうかなと考えています。

ただ実際はそういう人たちがどんどん来るようになることは想定されていて、 そういう時期になると、マーケティングならオレコンみたいになる可能性もありますよね。

お客様のニーズがあるんで、 我々がやらないとという形では進んでいくかもしれません。ただ情報とかデータとかどんどん入ってくることには変わりないので、 悩んでいるかもしれないですね。

一方で、そういった権力構造をどれぐらい除去するかっていうところも、オレコンのテーマではあるんです。

 

―― そのテーマでどのような働きかけをしていますか?

ヤマタクさん社内いじめが発生しないようにするにはとか、自らの努力ではない状態、能力ではない状態の評価、いわゆる派閥とか恣意的な評価とかが生まれないようにするっていうサービスが多分発生するんじゃないかというふうに考えてます。つまり権力構造を打破するサービスということです。

 

―― それはオレコンの社風に繋がっていますね!

ヤマタクさんそうですね。あとは新しいサービスで戦略PRは皆さんが楽しいと思えるんじゃないでしょうか。大学の研究者さんとか巻き込んだり、NPO法人を巻き込んだりする戦略PRっていうPRのやり方だけどその辺はどんどん進めていけると思います。
昨年、一昨年、僕ちょっとPRを放置してるところがあったので、 今年はしっかりやっていこうかなと考えていますよ。

 

―― このインタビューもPRの一貫ですね!(笑)

ヤマタクさんその通りです(笑)あと、ブランディングっていう商品は売れるようになる気がしますね。ブランディングというと曖昧に聞こえるんですけど、実は皆さんが商品やサービスに価値を感じるために、その流れやステップや具体的な方法論について、あんまりかっちりとできてないんです。
僕も勉強させてもらったけど、ちょっと書籍とかにも全然なかったんですよ。それが現在だと数値化されていてデータも揃ってきてはいますが、 まだ逆に最新の情報に追いついてはいないので、大手を分析してちょっと浅めなやつを出しています。

 

―― 例えばどんなことがありますか?

ヤマタクさんそうですね。皆さんが買ってるスタバって他より高い金額を払っててもみんな飲んだりとかするじゃないですか。もちろん場所代雰囲気代っていうのがあるんですが、実際、そこに感じるのもブランドではあるんだけど〇〇より安いよねっていうことがあります。

お洒落な感じでリラックスできて、程々のコーヒーで会話できるようなスペースが欲しいってなった時に、いままではタバコ臭い喫茶店とかファミレスとか食事メインのお店しかなかったんですよね。

本当にそういうところだと思うと、専門店に行くかなんならホテルのラウンジとかになってしまいます。でもそういうお店って高くて1杯1,000円とかになってしまうんですが、スタバはそういうお店よりは安いよねってなるわけです。

その安さの一つが移動コストも含まれているんですけど。『〇〇より安い』という何と比較するかというところがブランドのスタートだったりします。その辺を今になって色々学んだりして商品をリリースしたりしています。

元オレコン生の人たちもブランディングで結構成功し始めてるので、 1つの提携というかテンプレみたいな形が出来上がってきているので、それも最短で最初のコストで商品になるなと思って、実は今ちょっと作ってます。

―― 実現までもう少しですね。

 

 

―― それでは最後の質問です。10年間オレコンを支えてくださった方々に伝えたい言葉はありますか?

ヤマタクさん辞めていったスタッフも含めて皆さんに伝えたいです。皆さんがいなかったらもうオレコンは存在し得ないです。失敗も成功の一つだと思うし、辞めていった方も含めて僕自身の甘さっていうのを指摘してくれたと思っています。たくさんの人にすごく支えられてるなと感じています。

もちろん、お客様が一番大事ではあります。お客様がいるから我々は生活することができるので、その人に対する感謝がとんでもなくあります。多くのお客様からちょっとずつご購入いただいていることで、大きくなってこれましたので、自分たちが大きくなったわけではないんですよね。

だからちゃんと皆さんのお力になれているのか、心配なんですよね。いただいた以上のリターンを返せているのかっていうことが常に心配です。
今働いている皆さんもそうですし、辞めていかれた人たちにも、また戻ってきたいと思える会社でいたいなと思うので、ずっと改善を繰り返しています。
また戻ろうと考えた時に、『いや〜……』ってならない仕組みを作りたいと考えています。

 

―― 今考えている仕組みや改善はありますか?

ヤマタクさん今のところは賃金テーブルを改善できるかなと思います。でも結局やっぱり引きずられて楽してしまう可能性もあるんですよね。他の会社でバリバリ働いて30万ていうのに対して、オレコンでは5分の1しか働いてなくて10万ぐらいになったりします。そうすると10万が少ないって感じてしまうんですよね。
でも他の会社では22時とか24時とかに帰ったりすることもあって、ベンチャーは特に終電とか、朝早く勉強会までしておかしくなってるような状況が現実にはあったりします。そのフルタイムの充実とフルタイムの成功事例を数字で提供することが恩返しとしてできるかと思っています。

10年間本当にここまでこういったことを考えてこれたり、それこそ最初は本当に50人分の準備を僕一人でしていました。最初プログラムを僕一人でやっていた時に、50人分の準備だと1晩2晩はかかっていました。『どうやったら喜ぶかな』『どうやったら驚くかな』と思いながら、プログラムを作っていました。
その時もたくさん来ていただいていましたが、それから考えると、今はもうZOOMの画面に呼ば
れて座るだけみたいな状態になっています。それ以外の時間はそういった長期的なビジョンとか打ち手の方に時間がさけてるようになりました。

すごく感謝していて、もうスタッフの皆さんなしにはやっていけないなということを感じています。
もちろん、それを買い続けてくれるお客さまもそうです。 僕たちの実験台だと分かりつつもなってもらって、それでも一緒に改善を楽しんでくれてる人たちには感謝を感じていますね。一緒に遊びに行ったりとかもするので、 みんな友達みたいな感じになっています。

だからこそ、この場はちゃんと維持できるようにしていきたいと考えています。場所というか、実際は会社なんですけども、 経済的にも続けられるようにしていきたいし、すごく使命を感じたりもしています。
これね『ほんとに』って言っても誰も信じてくれないんです。(笑)『むっちゃ感謝してます』とか言っても、スタッフさんとかみんな嘘でしょって言うんですよ。 (笑)

 

 

―― え、ほんとうですか?(笑)

ヤマタクさん本当ですって。(笑) それに今いるスタッフさんはもちろんなんですが、逆に力になれなかった人たちっていうのも、ものすごく記憶に残っています。
今でも、どうやったらよかったかなって本当に思います。 詰め方とか言い方がきつかったのかなーとか。

経営者さんとかも契約解除になった時に、やっぱり効果なかったっていうのは、その会社さんにとっては事実なんですが、それもずっと引きずりますね。 すごく擁護してくださる方とか、今結果が出ていて継続してくださってる方は、もしかしたらたまたまなんじゃないかって思ってしまうときもあります。
そういう後悔とか、またそれに気づかせてくれたり、改善させてくれたりすることにすごく感謝しています。僕はそんなのばっかりで、おかげさまで10年持ってるなという感じが常々あります。

本当にみなさん、ありがとうございます。

 

 

ありがとうございました。

以上全3回に分けて、株式会社オレコン代表山本琢磨からお話をお伺いいたしました。

今後とも株式会社オレコンをどうぞよろしくお願いいたします。