Netflixの自動再生に潜む『隠れたコスト』新たなダークパターン解説コラムをオウンドメディアDarkpatterns.jpで公開

Darkpatterns.jpが世界の研究者と連携し、利便性の裏にある“設計の意図”を読み解く

「次のエピソードを自動で再生する」今や多くの動画配信サービスに搭載されているこの機能が、実はユーザーの視聴行動や意思決定に大きな影響を与えていることをご存じでしょうか。

ウェブサイトやアプリのデザインにおいて、企業にとって都合の良い選択肢にユーザーを誘導する「ダークパターン」の撲滅を目指すDarkpatterns.jp(運営元:株式会社オレコン、東京都)は、2025年4月21日、スペシャルコラムを公開しました。

シカゴ大学による最新の研究結果をもとに、視聴者の「選択する力」と「時間感覚」がどう変化しているのかを、わかりやすく解説しています。

▶特別コラム:Netflixの自動再生に潜む『隠れたコスト』とは?科学者が行動パターンを分析

https://darkpatterns.jp/blog/scientists-hidden-netflix-autoplay/

コラム掲載の背景

Netflixなどの動画配信サービスで広く使われている「自動再生」機能は、ユーザーの操作なしで次のエピソードを再生する便利な仕組みとして親しまれています。しかし、その便利さの裏で、ユーザーの視聴行動が無意識のうちにコントロールされている可能性が指摘されています。

自動再生によって「見るかどうかを判断する時間」が奪われることで、本来なら一度立ち止まって考えるはずのタイミングが失われ、結果的に長時間の視聴や不規則な生活につながるケースが増えています。こうした設計は、注意をひきつけて利用を継続させる「ダークパターン」の一種とみなされ、倫理的な問題として注目されています。

特に、判断力が発展途上にある未成年や若年層にとっては、自動再生がもたらす影響はより深刻です。時間感覚や視聴のコントロール力を失い、望まないコンテンツに触れるリスクもあります。こうした状況を踏まえ、ユーザーに“気づき”を促すことを目的として、本コラムの掲載に至りました。

ダークパターンの例

ダークパターンとは、ユーザーにとって不利な選択を促すよう意図されたインターフェース設計のことを指します。以下はその代表的な例です。

  • タイマーで焦らせる購入ボタン

→「残り◯分」「あと◯人が閲覧中」などの演出で購入を急がせ、冷静な判断をしにくくする。

  • 目立たないキャンセル・拒否ボタン

→「購入する」や「登録する」ボタンが強調され、キャンセルや拒否の選択肢が見えにくくなっている。

  • 解約しづらい導線

→サブスクリプションの解約手続きが複雑に設計されており、途中であきらめてしまうよう誘導する。

コラム内容

今回取り上げたのは、シカゴ大学コンピューターサイエンス学科の研究チームによる実験的研究です。76名のNetflixユーザーを対象に、自動再生をオンにしたままのグループと、オフにしたグループの視聴行動を比較しました。

その結果、自動再生をオフにしたグループでは、1回の視聴セッションあたり平均18分視聴時間が短縮される傾向が明らかになりました。自動再生が止まることで、「次を見るかどうか」を自分で判断する時間が生まれ、より意識的な視聴行動につながったと考えられます。

研究チームは、自動再生がユーザーの判断機会を奪い、視聴継続を促す構造になっていると指摘しています。こうした設計はユーザーの意志を尊重せず、無自覚な長時間視聴を助長する可能性があり、生活習慣や健康への影響も含めて、今後さらなる検証が求められます。

▶特別コラム:Netflixの自動再生に潜む『隠れたコスト』とは?科学者が行動パターンを分析

https://darkpatterns.jp/blog/scientists-hidden-netflix-autoplay/

今後の展望

Darkpatterns.jpではこれまでにも、国内外の専門家、弁護士、プロダクトデザイナーと連携し、ダークパターンに関する情報発信を行ってまいりました。今回のMiranda Redenbaugh氏による特別コラムも、そうした国際的な取り組みの一環です。

今後も引き続き、世界の第一線で活躍する専門家との協力を通じて、最新の研究動向や国際的な議論をわかりやすく紹介し、日本のデザイン・開発の現場にいち早く届けてまいります。

代表者コメント

■Darkpatterns.jp 編集部 代表 山本琢磨

「今、世界では“デザインの力”が行動を左右するという前提で法整備が進められています。一方、日本ではまだ議論が本格化しておらず、企業・政策・市民それぞれの意識改革が求められています。私たちは、その一歩を後押しする情報発信を続けていきたいと考えています。」

著者プロフィール

■Miranda Redenbaugh 氏(ミランダ・レデンボー)

アメリカ・シカゴ大学コンピューターサイエンス学科のコミュニケーション副ディレクター。最先端研究の広報、DEI(多様性・公平性・包括性)推進、SNS戦略を担当。ビジネススクールでの広報経験と教育現場での実績を活かし、専門的な内容をわかりやすく伝える情報発信を行っている。

問い合わせ先

■Darkpatterns.jp 編集部

メールアドレス:info@darkpatterns.jp
ウェブサイト   :https://darkpatterns.jp/

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■株式会社オレコン

所在地  :〒107-0051 東京都港区元赤坂1-2-7 赤坂Kタワー4F
代表者  :山本琢磨
設立日  :2013年4月18日
URL   :https://orecon.co.jp/
事業内容 :マーケティング事業、コンサルティング事業、グループの経営統括/管理